雨の日や寒い日に頭痛がする…めまいがする…
そんな症状を訴える方が、最近多く見られています。この症状は「天気痛」と言われる症状で、ニュースZEROにも特集で取り上げられるほど、注目されている症状です。
以前は、天気の変化による頭痛やめまいの原因は解明されていませんでしたが、近年では、耳の奥の内耳が関係しているということがわかってきています。一度は皆さんが経験したことのある反応ですが、トンネルに入ったときや高い山に登ったときに起こる耳がキーンとなるアレです!
「天気痛」は耳の内耳で反応して視床下部に情報が伝達され、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまいます。その中でも、交感神経の興奮を促し、活発になってしまいます。交感神経が興奮すると痛みの神経や筋肉を刺激してしまい、頭痛やめまいを起こします。
古傷も同じです。それについては以前ブログを書いていますのでこちらを見てください。
なぜこの天気痛が鍼灸治療と相性が良いかというとこの頭痛には2つの原因があります。
①自律神経が乱れている状態
②肩こりや首こりがあり、筋肉の血流が悪い結果、気圧が下がると筋肉も収縮している
この2つがあります。
まず①の自律神経が乱れている状態で症状が出てしまっている場合は、東洋医学的に診ると「湿」というものが滞っていたり、「気」というものが滞ることによって症状が出ると言われています。簡単に言うと「湿」というのは水分代謝が上手くいっていなくて水分が身体に溜まってしまう状態です。「気」は身体のエネルギーのことを言います。例えばこの「気」が増えすぎたり減りすぎたりすると、イライラしたり、落ち込んだり、鬱になったりします。いわゆる自律神経の作用に影響します。また「湿」の代謝を促すには「気」のエネルギーが必要不可欠になります。その2つの異常をしっかりと働かさなければいけないということです。
この「湿」と「気」の状態を改善させていくためのツボを紹介します。
①豊隆
このツボは足のスネにあるツボで、外くるぶしと膝を結んだ線上の中点で、スネ骨から指2本外側にあるツボです。このツボは、頭痛やめまいの症状に効くツボで、胃などの消化器の症状に良いとされています。また、身体の余分な水分を外に出す作用があり、身体がだるい、重いなどの症状、お酒の飲みすぎやむくみなどにも効果があると言われています。
天気痛の原因の「湿」という状態もこのツボの作用を促して行くことで解消されると言われています。
②内関
このツボは前腕の内側にあるツボで、手首を曲げたときに出来るシワから指3本分肘側にあるツボです。このツボは、吐き気、めまいに効果のあるツボで、内臓系にも良いとされています。また、イライラ感、不安感、不眠症などの症状に良いとされ、リラックス効果もあると言われています。
③完骨
このツボは耳の後ろにあるツボで、耳の後ろの骨の少し後ろのくぼみにあるツボです。このツボは頭痛、めまいに効果のあるツボです。さらに安眠効果のあるツボとして有名なツボになります。このツボ付近には、胸鎖乳突筋や頭板状筋が付いているので、肩こり、首こりでもよく使う場所になります。
④頭竅陰
このツボも耳の後ろにあるツボで、耳の後ろの骨の少し後ろのくぼみにあるツボですが完骨のくぼみの上のくぼみにあるツボです。このツボも頭痛やめまいに効くツボです。また、耳鳴りや立ちくらみに効果があると言われています。
次に②肩こりや首こりがあり、筋肉の血流が悪い結果、気圧が下がると筋肉も収縮している状態で症状を出している場合はどうでしょうか。こちらは西洋医学的に診ていきますがと要はそもそも症状が出やすい筋肉の硬い状態があるということです。
気圧の変化で自律神経に刺激が行くことで症状が出るのであれば、その影響が出ても症状を出さない身体にしておく必要があるということです。筋肉は症状が出ていなくても予備軍のような形で硬くなっていることがあります。例えば、周りには肩凝ってる?と言われるけど肩こりを感じたことないという方です。あの状態は「肩こり予備軍」なんですよね。なにかきっかけがあればその部分から症状が出てしまうという状態です。
「天気痛」で悩んでおられる方のほとんどが、もともと肩こりの症状をお持ちの方か肩こり予備軍の方なのです。だから筋肉の血流を良くして肩首の筋肉の状態を良くしておくことが重要なのです。
この原因となっている筋肉は、頭板状筋と胸鎖乳突筋です。
①頭板状筋
この筋肉は耳の後ろの骨から背骨にかけて付いている筋肉です。この筋肉が硬くなる頭頂部の頭痛、目の奥やこめかみ辺りの頭痛を引き起こします。この筋肉付近には、完骨というツボがあります。
②胸鎖乳突筋
この筋肉は耳の後ろから鎖骨に付いている筋肉です。この筋肉が硬くなると目の周り、おでこ辺りに頭痛を引き起こし、さらに耳鳴りなども起こります。めまいが起こるのもこの筋肉が原因と言われることもあります。
この①自律神経が乱れている状態②肩こりや首こりがあり、筋肉の血流が悪い結果、気圧が下がると筋肉も収縮しているの2つの状態が原因で起こる「天気痛」を解消できるのが鍼灸治療なのです。
鍼灸治療は東洋医学的にも西洋医学的にもアプローチができる治療法でツボを刺激することで①の「湿」や「気」の滞った状態を解消できますし、②の筋肉に直接刺すことで、筋肉の血流を改善させ筋肉の硬さを解消できます。
薬だけだと筋肉は柔らかくなることは少ないですし、マッサージなどではツボを完全に刺激することは難しいです。
特に「天気痛」の場合、筋肉をしっかりと緩めて、ツボをしっかりと刺激して身体の状態を整えていく必要があります。鍼灸治療の場合は、直接筋肉に対してアプローチできる唯一の治療法ですし、ツボに対しても持続的に刺激を与えられる治療法なのです。
鍼が苦手な方もおられると思いますが、「天気痛」を治すには鍼治療しかないとも思います。
一度、鍼灸治療を行なうことも検討してもよいのではないでしょうか。「天気痛」とは相性抜群だと私は思います。