「日にち薬」
よく耳にする言葉ですが、痛みが出た場合、本当に「日にち薬」で時間が経てば治るのでしょうか?
日にち薬とは?
まず、「日にち薬」って全国共通の言葉ではないということはご存じだったでしょうか?
おもに西日本、特に関西の方が良く使う言葉だそうで、実際、治るのにどれぐらいの期間がかかるのかがわからないときに使われます。例えば、恋人に振られた際の心の傷。癒えるのにどのぐらいの期間がかかるかわからないですよね?ただ、この使い方なら正しい使い方なのですが、これを医療で間違った使い方をしてしまうとこのようなことが起きます。
よく聞く「日にち薬」の間違った使い方
レントゲンや検査などで原因がわからない際に「日にち薬ですね」と言われる。これはよく患者様からお聞きするシーンですが、原因がわからないときにわからないと伝えないのがあまりよくないですよね。実際、最近知り合いが原因不明の痛みに悩まされて、病院に行くと「原因不明なので時間か解決してくれるでしょう」と言われたそうです。これは医療者の「逃げのひとこと」でしかありません。
原因不明を原因不明と言えない、そしてそれに対して何も対処してくれないこともあります…
医療での「日にち薬」の正しい使い方
一方でこの言葉は患者様を安心させる言葉となることもあります。例えば、風邪を引いた際に「この薬を飲んだらあとは日にち薬で治りますよ」や「手術のあとの痛み、日が経てば治りますよ」このように原因がはっきりとわかっており、大体の期間がわかっている際に聞く、「日にち薬」という言葉は安心しますよね。この安心をするというのが、プラシーボ効果といって、期待や快楽を与えると免疫力が上がるという実験の効果のことで、科学的に証明をされている効果があります。こちらの記事も参考にお読みください。
プラシーボ効果って?まるで魔法のような効能を紹介
この効果を使うような「日にち薬」の使い方は良いですよね!
慢性的な痛みは「日にち薬」で治るのか?
結論から言うと治る可能性は限りなくゼロに近いです。なぜかというと慢性的な痛みはレントゲンや検査などで原因や結果がわかることはほとんどなく、日常の生活の中で筋肉を使いすぎたり、疲労がたまることで起こるからです。
レントゲンは、骨は写るのですが、筋肉までは写らないです。ましてや、筋肉の痛みの原因となったところなんて全く写りません。日常的な生活をいきなりやめて、その部分を使わないようにすると治る可能性はありますが、そんなことまず無理ですよね。仕事をやめるわけにもいかないし、家事をやめるわけにはいかないし…
なので日常生活が原因の五十肩、肩こり、慢性腰痛などの慢性痛は「日にち薬」では痛みはなくならないのです。